5月17日(日)古楽器のレクチャーコンサートに行ってまいりました。
汐留のベヒシュタインサロンまで、教室の生徒が一人一緒に来てくれました。
この日、用意された楽器は全部で4種類でした。
クラヴィコード(バロック時代)
チェンバロ(バロック時代)
フォルテピアノ(古典派の時代)
現代ピアノ(ベヒシュタイン)
レクチャーでは、それぞれの楽器の構造についても知ることができました。
現代ピアノを美の頂点と考えてしまいますが、古楽器が技術的に古く貧弱であるにも関わらず、
確かな「美」が奏でられ、その時代の美意識となっていたことに、あらためて感動しました。
コンサートでは、特徴ある楽器それぞれの時代に求められていた美意識が感じ取れる納得の数曲を聞くことができました。
ソナーレピアノ教室では、
バッハのインヴェンションに取り組んでいる生徒もいます。
そのインヴェンションはクラヴィコードに魅せられたバッハが、
クラヴィコードで学習するために書いたものなのです。
とても音の小さい楽器で隣に立たないと満足に音が聞こえないような楽器なのですが、
いったい、クラヴィコードのどんなところにバッハは魅かれたのでしょうか?
そんな質問をしながら、教室では、youtubeでクラヴィコードとチェンバロを聞き比べてもらっています。
聴くとすぐに、インヴェンションの弾き方のヒントとなる奏法を見つけ、大きく演奏解釈を更新してゆく、
生徒たちに感心すると同時に、聞いてみることがいかに子供たちに納得のいくものなのか実感しました。
実際にクラヴィコードに触ると、驚くほどタッチの違いに反応し、歌うことに敏感に反応してくれる楽器でした。
この「歌うこと」を、右指も左指も美しく織りなしてゆくのが、インヴェンションが上手に弾ける楽しみでもあります。
チェンバロはクラヴィコードよりも音も大きく、弦を小さな爪のようなものでひっかいて発音するので、音質もかなり異なります。クラヴィコードが「歌う」楽器というなら、チェンバロは「しゃべる」楽器といえるかもしれません。インヴェンション(2声)が終わり、シンフォニアという3声部でできている教本が終わると、平均律というものに進みます。この平均律はクラヴィーアの練習用とされています。名前が似ていてややこしいですが、これはクラヴィコードという意味ではなく、鍵盤楽器全般を指しています。つまり、パイプオルガンも含まれるわけです。ですので、平均律の演奏は、クラヴィコード、チェンバロ、パイプオルガンのイメージを選べるわけです。演奏者によって、様々な解釈がされていて、とても面白いです。
そして、最後になりましたが、今回の一番の収穫はフォルテピアノの美しさを知ったことです。
フォルテピアノのレクチャーと演奏を通して、古典時代の作曲家たちが意図したニュアンスがなんなのか、体感することができました。
早速、今、発表会に向けて、ソナチネやソナタなど古典派の曲を弾いている生徒たちには、youtubeでフォルテピアノの音を聞いてもらっています。現代ピアノで弾くとどぎつくなり、味気なくなりがちなダイナミクス(音の強弱)も、フォルテピアノで弾くとひと味もふた味も違った意味合いのダイナミクスになります。はかなさや、悲しさ、深い思いを伝えるためにあるダイナミクスを知ったら、「侘び寂び」の境地に似たものすらを見出すことでしょう。あらゆる点で貧弱でもの足りないはずの古楽器でこそ奏でることのできた美しさは、そのまま作曲家たちの意図だったわけですから、今後、現代ピアノ以外で作曲された曲はその曲が作曲された楽器で一度弾いてみたいものです。
教室の生徒たちの耳の反応の良さには、驚きの連続で、即座に演奏に変化が現れます。
まずは教室内でyoutubeで聴く取り組みをレッスン中に続けてみようと思います。




写真は会場の様子と当教室生徒が試弾している様子です。
音だけでなく、構造に関心をもって熱心に試弾していました。
*写真掲載の許可をいただきました